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水々しい健康生活のために
― はじめに
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もう30年ほど前になりましょうか、『日本人とユダヤ人』(イザヤ・ベンダサン著)がベストセラーになりました。その中で、「日本人は水と安全はタダだと思っている」という一節があり、私はふいをつかれたような感じで、なるほど世界では水が貴重品なんだ、安全はお金を払って買うものか、と感じ入ったものでした。
もっとも、現在では、ベンダサン氏の警句に驚く人は、多分、いません。朝、起きたてに、目覚まし代わりに水道の水をコップでグイ飲みする人はまれで、多くの人は、ペットボトルの名水を飲みます。名水でご飯を炊く人だっています。ことほど左様に、日本の水道水の評価は地に落ちました。
安全についても同様です。アメリカほどではないにしろ、日本でも、最近は闇夜を歩くのが恐くなってきています。
このように水の安全神話が崩壊し、多くのT名水Uが世に姿を現したことを評して、私は「飽水の時代」と呼んでいます。しかし、大量の名水を手軽に飲むようになった時代であるにも関わらず、水と健康の関係は、誰も立ち止まって考えようとせず、どうも置き去りになっています。おいしさ優先の水だけが求められている気がします。
「飽食の時代」になって、糖尿病をはじめとする生活習慣病が蔓延してきたように、飽水の時代になって、おいしさ優先の水をがぶ飲みするようになった結果、ここでも様々な症状が発生してきています。
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ところで、水と健康を考える場合、重要なことは水に含まれるミネラルです。私たちが毎日飲む水には、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが含まれていますが、これまでカルシウムだけが注目され、マグネシウムは置いてきぼりにされていました。私は、こうした傾向を、「カルシウム至上主義」と呼んでいます。
もっとも、欧米に遅れをとりましたが、最近では日本でも、マグネシウムに注目する研究者があらわれ、「カルシウム神話」が崩壊しつつあります。
水とミネラルを考える場合、このマグネシウムがとても大切です。より正確にいえば、カルシウムとマグネシウムのバランスが重要なポイントです。
では、マグネシウムが不足したり、あるいはマグネシウムとカルシウムのバランスが崩れるとどうなるか。
そこで現れる症状が、私が命名したところの「低空飛行症候群」です。低空飛行症候群については、後ほど詳しく説明しますが、ごく簡単にいえば、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲んでいても、案外、体の中のミネラル的な飛行度が低いために、ガソリンの燃焼率の悪い浪費状態にあるという意味です。そして、こうした低空飛行状態になると、イライラが募り、物忘れが激しくなり、あるいは、不定愁訴の症状になる。要するに「キレやすく」なります。
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平成大不況の先行きに多少の明るい陽差しが見えてきた昨今ではありますが、新聞などは、「これからがリストラの本番である」などと不安を煽っています。また、不況のドサクサにまぎれて、いとも気軽にリストラを断行し、それを経営者のお手柄ともてはやすムキもあります。
「まったく、頭にくるなあー」というのが、世論調査がくみ取れないサラリーマン諸氏の声なき声であろうかと思いますが、と言って、「辞めるべきは、あんただろう」とエライさんに食ってかかると、侍ってましたとばかりの肩たたきにあってしまいます。
キレたらあかん、のです。
というわけで、この本では、飽水の時代の水の問題、特に水とミネラルの関係についてお話しをいたします。本書をじっくり読んで、イライラすることなく「水々しい健康生活」をおくって頂ければ幸いです。
安井昌之
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次週13年2月18日掲載予告
連載第2回/第1章[その一]水が原因だった和歌山県の風土病
■紀南地方で多発した「アミトロ」、別名「牟婁病」
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著者:安井昌之(やすいまさゆき)プロフィール
1941年大阪市生まれ。1966年、和歌山県立医科大学卒業。和歌山県立医科大学大学院講師、米国国立公衆衛生院(NIH)客員研究員を経て、安井内科院長。京都大学原子炉実験所共同利用研究員、和歌山県立医科大学研究員、日本マグネシウム研究会理事、医学博士。国際学会から講演依頼を受ける他、多数の論文、著書あり。
明治時代にアメリカで設立された出版社CRCPressから4年を費やして編集、出版し
た『Mineraland
Metal Neurotoxicology 』は世界各国で発売中。
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