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 連載「安心!?食べ物情報」No2 発行者・渡辺 宏 

〔話題〕【本の紹介】「水道水」

「水道水 安心しておいしく飲む最新常識」 小島貞男 著 宙(おおぞら)出版
 著者は有名な水道の技術者です。小島さんの本を読むと、「技術者」と「科学者」の違いを感じるのですが、この本でも、きわめて実際的な、水についての知識が語られています。目からウロコ、の話が多いのですが、いくつか拾ってみました。
 水の博士、小島貞男さんの「水質何でも相談ホームページ」 
http://www.veritastk.co.jp/kojima/

【塩素】
 水道水に塩素が含まれていることは知っていましたが、「殺菌のため」程度に思っていました。著者は外国に行くと、ホテルの水道水の「残留塩素」を調べるそうです。水道水が汚染されると、この塩素が消費されてしまい、残留しなくなるそうです。つまり、残留塩素が検出されれば、水道水が汚染されていない証拠ということです。 

【硬度】
 水の硬度(ミネラル含有量)をしらべ、200(ミリグラム/リットル)以下だったら、下痢することはないそうです。前記の塩素とこの硬度のチェックで、「残留塩素あり、硬度200以下」だったら、生で飲んでも大丈夫!と著者は言っています。「外国では水を生で飲んではいけない」のはどうして?と疑問に思っていましたが、これで長年の疑問が解決しました。理由もわからずに、「外国の水は危ない!」といっていると、差別意識が混じってくるんですよね。

【おいしい水】
 著者は「おいしい水は安全な水」と主張していますが、どんな水がおいしいか、という要件は以下のとおりです。
 蒸発残留物         30〜200ミリリットル/リットル
 硬度            10〜100    〃 
 遊離炭酸           3〜30     〃 
 過マンガン酸カリウム消費量  3  ミリグラム/リットル以下
 臭気度            3以下(普通の人は感じない程度)
 残留塩素           0.4ミリグラム/リットル以下
 水温            20度以下
 ここで、「水温」が登場していることに注目してください。著者によると、冷やした水道水は、生ぬるいミネラルウォーターより、おいしいそうです。一度試してみてください。

【浄水器】
 現在、売られている浄水器は、使い方さえ間違わなければ、十分な性能を持っているとのことです。注意点として、
(1)水を勢いよく出さない。浄水器を使うときは蛇口を全開にすると、水の流れが速
   くなって、浄化しきれない。
(2)浄水器の水は塩素を含まないので、冷蔵庫でも、保存してはいけない。
(3)浄水器のカートリッジの寿命は通した水量によるので、直接、飲んだり、食べた
   りする水以外は浄水器を通さない。
 実際に飲んだり、料理に使ったりする水は、水道水の1%以下だそうです。そういえば、水洗トイレにも、庭の水やりにも、水道の水を使いますが、このような水が「おいしい水」である必要はありませんね。
 著者は、費用をかければ、もっとおいしくて、安全な水ができるといっていますが、1%以下の飲用、食用の水のために、全部の水道水をこのような高度な浄水にするのは不合理だともいっています。
 提案として、水道水は今の程度で十分とし、食用として、各家庭で、高能力の浄水器を備えるのが良い、としています。そういわれてみると、確かにこの案は合理的です。
 でも、そうなると、「健康に良い浄水器」なんかを売り込みに来る人がきっと現れるんでしょうね。全部の家庭に、浄水器とはこのようなもの、という知識を普及させるのは難しい問題です。
 著者は「水道局による一括の設置・管理」まで考えているようですが、こんなことまで行政に面倒を見てもらわなければならないほど、日本人は程度が低いのか、とも思います

【ミネラルウォーター】
 日本のミネラルウォーターと外国(特にヨーロッパ)のミネラルウォーターとでは、ずいぶん中味が違うそうです。ヨーロッパでは、厳重に管理された、無菌の水を、殺菌せずに容器に入れているものが多いとのこと。また、硬度も高いようです。
 日本のものは、硬度の低い水を、加熱殺菌しています。「ミネラルウォーター」というと、看板に偽りあり、になりそうです。
 私の知っている、あるミネラルウォーターのメーカーでは、温泉水(1300メートルの深さから汲み上げたもの)を原水にしていますが、そのままでは硬度が高すぎて、飲めないのです。
 製造時に、加熱殺菌として、いったん沸騰させると、硬度はすごく下がって、ちょうどよいくらいになるのだ、と言っていました。
 しかし、無殺菌のミネラルウォーターがあったとは、知りませんでした。

【水の色】
 水道水の異常で、
 「赤い水」鉄製パイプの赤サビが原因のことが多い。
 「白い水」しばらく放置して、透明になったら、空気が泡になっていただけなので、
 異常なし。濁ったままだったら、「亜鉛引き鋼管」の亜鉛が溶けてきたもの。
 「青い水」銅が溶けています。銅管は湯沸し器などに使われています。銅は別に毒で
 はありません。
 著者は、「朝一番の水道水は飲むな」といっていますが、朝一番には、このように、いろんな成分が溶けて水道水に混じっていることが多いそうです。夜、寝る前に汲み置きしておくのがよいそうです。

〔食べ物情報〕「牛乳」その1

 手始めとして、一番関心の高そうな、「殺菌」についてです。
 殺菌しない牛乳は食品として売ってはいけません。必ず、殺菌が義務づけられています。「60度30分」というのが、有効な殺菌温度のめやすで、これと同等以上の殺菌効果をもった方法をとらなければなりません。
 殺菌などは不必要だ、という意見もあるかとは思いますが、とりあえず、上記の条件を前提にします。
 現在、主流になっているのは、135度2秒、といった、「UHT殺菌」です。この方法は殺菌効果は極めて良いのですが、高温をかけるため、調理臭がつくこと、たんぱく質の変性がおこることが問題とされています。
 それ以外では、殺菌温度を140度くらいまであげ、容器殺菌やアルミによる空気の遮断などを取り入れ、常温での保存を可能にした「ロングライフ」、75度前後で短時間(15秒くらい)で殺菌する、「高温殺菌(HTST)」、65度程度で30分保温する、「低温殺菌(LTLT)」などがあります。

 低温殺菌以外は、蒸気との熱交換による過熱が主な方法です。いきなり100度以上まで上げられませんから、予熱の時間も含めた積算温度が熱変性にとって一番問題といわれています。
 熱変性といっても、別に栄養価が損なわれるわけではなく、栄養の面からはどんな実験でも差がないことがわかっています。
 熱変性という面では、「LTLT」よりも「HTST」の方が有利だという説もあります。
 低温殺菌で問題なのは、殺菌効率が低いため、原乳の細菌数が多いと、どうしても製品の細菌数が多くなり、品質に問題が出ることです。
 逆に、ある程度きれいな原乳でないと、低温殺菌で製品にできない、と考えれば、メリットでもあるわけです。
 製品では1ミリリットル中に5万個というのが基準値ですが、原乳段階では数百万個、というものもあります。UHT殺菌ならば、そんな牛乳でも、何とかなるのです。
 低温殺菌で商品化しようとすれば、せめて数十万個、できれば数万個、の状態で工場まで届く必要があります。搾乳時の衛生管理と、搾乳からの工場までの、温度と時間の管理が問題です。(これらの細菌の個数は、顕微鏡で見て数えるのです。したがって、生きているものと、死んだものとを区別できません。これに対して、製品の「一般生菌数」というのは、培養して、元の菌数を推定します。この場合は生きている菌だけを数えることになります。)

 かつて、日本の酪農の生産基盤が整備される以前に、UHT殺菌が普及したため、原乳の細菌数を減らす努力が不徹底であった、というふうに、私は考えています。
 製品中の細菌数でいうと、UHTとLTLTでは2ケタほどLTLTの方が多くなります。その分、日持ちも悪いのはいたし方ないですね。
 LTLTの方が有用菌が多くて、逆に日持ちする、ということをいう人がいますが、残念ながら、実験するとそのようなことは起こりません。
 だいたい、どんな殺菌方法でも、有用菌を残す、というような選択的な殺菌ができるわけではありません。
 私なりの結論は、よい牧場で搾られた、品質の良い、きれいな原乳を、低温殺菌したものが一番おすすめできます。低温殺菌ならば何でもよい、というのは間違いです。もちろん、日持ちが悪いのは覚悟の上です。
 UHTなども栄養的に問題はありませんので、衛生的には安心して利用できると思います。ある程度買い置きしたいときはこちらの方が良いかも知れません。ただ、味が少し違うので、どちらかに統一した方がかしこいと思います。


「安心!?食べ物情報」Food Review[3号][5号]より転載

 次回14年3月10日掲載予告
 「安心!?食べ物情報」No3
 〔Q&A〕「ウーロン茶」・
〔食べ物情報〕「お茶」その1

発行者:渡辺 宏(わたなべひろし)プロフィール
 1951年和歌山県生まれ。無添加食品などの仕入を20年以上経験、生協を経て、平成10年夏、コンピュータ・システム設計会社「森羅情報サービス」設立、現在に至る。今までたくさんの生産現場に出向いた経験を元に、食べ物の「でき方」「作り方」とその問題点などを懇切丁寧にメールマガジンで毎週発信中。他に宮沢賢治の童話と詩をテーマにしたホームページ「
森羅情報サービス」も開設。
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今回は渡辺 宏さん発行の週刊メールマガジン「安心!?食べ物情報」Food Review のバックナンバーの〔話題〕や〔Q&A〕そして〔食べ物情報〕の中から水や飲料に関する話題をピックアップしての連載です。専門的なことも出てきますが、T目からウロコUのお話がいっぱいです。これがほんとうのT食のQ&AサイトUではないでしょうか。“掲載料は不要ですよ。”との渡辺 宏さんのご厚意に甘えての転載です。ありがとうございます。心より御礼申しあげます。
ご意見ご質問などありましたらご連絡下さい。
fukuhara@10-stones.co.jp


「安心!?食べ物情報」バックナンバー
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〔食べ物情報〕
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2月17日〜

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ごあいさつ&「養殖エビ」

「しょうゆ」その1


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